Tokyo Metropolitan Teien Art Museum



わたしの趣味の一つに建築の見学があります。

目下お気に入りは、東京庭園美術館になっている、旧朝香宮邸です。


約3年に及ぶ改修工事を経て、リニューアル。先日、重要文化財指定となりました。


この邸宅は、戦後、皇籍離脱の際に宮家の手を離れ、当時の外務大臣 吉田茂が気に入って一時外務大臣公邸のち首相官邸となり、その後民間に払い下げられ、また東京都に買われる、という波乱の運命を辿った邸宅でもあります。


戦前の東京『市内』にはこのような沢山の邸宅がありましたが、戦中戦後の動乱の際に無くなってしまったものも多くあるようです。


さて、この度、平日限定で館内の撮影が出来るというので、夜間拝観が出来る金曜日に行ってまいりました♪


この家の特徴は、何といってもアール・デコ!

陸軍の軍人であった当主が軍事研究のためにパリに留学していた1920年代、当時大流行していたArt Décoに魅了され、この邸宅を注文されたそうです。


当時何棟もあった宮家や華族そして実業家の邸宅の中でも、一番モダンな建物であったに違いなく、ルネ・ラリックやアンリ・ラパンが室内の装飾を手掛け、かなり見応えがあります。



ガラスの扉もさることながら、モザイクの床も素敵


玄関を入ってドーンッ!とあるのが、ラリックの女神がモチーフのガラスの扉。今はこちらから邸宅内に入ることは出来ませんが、当時はここから、宮家へ招かれたゲストが入って行ったそうです。




ガラスの扉を入ると、こちらの広いロビーへと繋がっています


当時の皇族は外交官が行うような国内外の客人の接待も担っていたため、私邸でありながらも公邸でもあったこの邸宅の間取りは、1階がオフィシャルな空間で、広いロビーとメインリビング、メインリビングから繋がる大きなダイニングがあります。

大きなパーティーがあるとすべての部屋を繋げて使っていたのではないでしょうか。




柱の上部のイオニア式の柱頭を模したデザイン




特徴的なシャンデリア




当時実際に使われていた、応接セット




Rの窓辺が特徴的なメインダイニング




シンプルで洗練されたセッティング

カトラリーはクリストフル 今は販売されていないモデル





ロビー中央の大理石の階段を上がると、プライベートな空間となっています。




わたしが特に気に入っているのは、中央の大理石の階段を上がってすぐの「大広間」、「ベランダ」と呼ばれるインナーテラスと夏のリビングとして使われた「北の間」、そして、今回は公開されていませんが、屋上の「ウィンターガーデン」。



プライベートリビングにあるスタンドライト風の柱




中にはこんな可愛いライティングも



陽の光がふんだんに降り注ぐ昼間も素敵だけれど、夜の雰囲気もムーディーで素敵でした。

白洲正子氏の言葉を借りて表現するとすれば、「日本に社交界があったとすれば、戦前のほんの束の間の華やかな時代」の煌びやかな時間が鮮明に蘇ってくるようでした。


撮影が出来る期間中に、もう一度、今度はお昼間に訪れたいと思っています。


もう、ホント、素敵過ぎ!

家を建てることがあるのなら、少しだけでも良いから参考にしたいです。



0コメント

  • 1000 / 1000